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司法 バックナンバー 1/3

万引き

「万引き」は「立派な」「窃盗犯」です。

 しかし、なぜか「万引き」は、「すり」や「ひったくり」や「侵入窃盗」に比べて、甘いですね。
 店にしてみれば、現金が窃取されたのと同じはずですが。

 よく「万引き」されるのが、百貨店、スーパー、コンビニ、レンタルビデオ店、ドラッグストア、書店などですね。
 確かに、人件費の節約にはなりますが、「万引き」はなくなりません。
 監視カメラも、あまり効果はありません。
 「現行犯」を警察に突出すのが「王道」です。
 単価の安い金額の品であっても、店側からすれば大切な商品です。

 損害額は、仕入値(原価)ではなく、仕入値(原価)+店舗賃料・人件費などの商品1個当たりの一般管理費を加えた金額です。

 話を簡単にするため、消費税の勘定をしないでおきます。
 1個1000円のものが、1個「万引き」されたとします。
 利益は1個50円とします。
 「万引き」分を挽回するためには、別に20個商品を売らなければなりません。
 別に20個商品を売って、はじめて「とんとん」です。

 万引き被害があれば、在庫と帳簿が一致しません。
 棚卸しをしたとき、どれだけ「万引き」されたかがわかります。
 ちなみに、「万引き」ではなく、内部犯の場合もあります。

 店の方でもある程度の万引きによる損失を計上しているものですが、本来その商品を売ったときに入るはずの現金が入ってこないのですから、被害が大きくなれば帳簿上は黒字であっても、実際には赤字になることは十分ありえます。

 万引きによる利益の圧迫で倒産する「万引き倒産」も現実にあります。
 現実には、書店が多いようです。

 生鮮食料品など、日持ちのしない商品を売っている場合は、当然、廃棄ロスを考慮して、利益率を定め、売価が定められます。
 書店は、「賞味期限切れ」による廃棄ロスはなく、「委託販売」といって、「売れ残り」「返品可」の書籍が多いので、一般的に利益率は低くてもやっていけるはずですが、「万引き」された書籍は、当然、返品できませんから「丸損」です。


 なお、犯人の立場からすると、万引きして追いかけられた場合、抵抗するのは損です。
 おとなしくしていれば、弁償だけですむかも知れません。
 しかし、抵抗して、追いかけてきた者に怪我をさせたり死なせたりしたら大変です。

 刑法238条には
 「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる」
 刑法240条には
 「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する」
 となっています。

少し前までは、刑法238条の「事後強盗」「致死傷」の最低刑が7年で、裁判官がいくら苦労しても、執行猶予がつかなかったくらいの重罪でした。今の最低6年も、かなり思い刑罰の部類に入ります。

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