債務(借金)問題
債務・借金
リバースモーゲージ
日本人は長生きをするようになりました。
子供が結婚・独立し、勤務先を定年退職した初老の夫婦がいたとします。
現在の金融資産や年金で、生活レベルを落とすことなく、暮らしていければ全く問題ありません。
もっとも、子供が家庭を持ち、家を購入して暮らしていく、あるいは配偶者の親と同居する(二世帯住宅なども含みます)、ということになれば、自分たち夫婦が死ねば、自宅は必要ありません。
「子孫のために美田を残さず」という言葉もあります。
リバースモーゲージとは、一戸建ての自宅の土地・建物(建物は評価の対象になりません)を担保にして、自治体(武蔵野市が始めといわれています)や金融機関(中央三井信託銀行が熱心です)から「生活費」という形で融資を受け、その借受人が亡くなった時点で担保となっていた物件を処分して、それまでの借入金を返済するしくみです。
マンションは対象にならないことにご注意下さい。
利用できるのは一戸建てのみです。
また、地域によって制限があります。
地価が下がる可能性の高い府県の土地は対象外です。
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県に限るというのが一般的です。
また、中央三井信託銀行は土地が4000万円以上の評価額でなければなりません。公共団体は低額のものでも可能です。また、各金融機関によっても異なりますから、ご調査下さい。
当たり前の話ですが、一番抵当を要求しますので、自宅に抵当権が残っていたのでは利用できません。
ここらで、相当対象者は絞られてきたなと思われませんか。
将来、若干の変更はあっても、これらの条件に準じない方の利用は無理かも知れません。
条件を見ていきましょう。某信託銀行を参考にしていますが、他の金融機関もほぼ同様でしょう(一部割愛しています)。
1 借入れは60歳以上、配偶者は55歳以上(いればの話しです)。
2 金利は、短期プライムレートに連動する変動金利で、利息は借入残高に組入れるのが通常です。複利ですね。
3 担保不動産の土地評価額に応じて個別に貸越極度額を決めます。時価額より低いでしょう。また、遅延損害金なども考慮して貸付枠の20%増の抵当権がつきます。
4 連帯保証人はいりません。
ただ、夫婦共有持分なら、片方のみというわけにはいきません。
5 枠内でカードで出入自由なのは64歳まで
6 65歳以上になると、カードではなく、その都度の借入手続きをとらなければなりません。また、借り入れできるのは79歳までです。
7 借入れは年1回の固定額も選べますし、枠内なら引出自由なタイプも選べます。
通常、後者でしょうね。
自宅のリフォーム、子供の結婚、子の家の新築の際の援助など不意の費用がかかる場合がありますから。
8 死亡した時、転居などにより担保不動産を売却するときに一括返済しなればなりません。
また、年に1度、担保の再評価を行い、借入極度額の見直しを行い、借入残高が借入極度額を上回ってしまった場合には、新しい借入極度額と現在の借入残高の差額を1年以内に一括または分割にて支払わなければなりません。
9 上記約束が守られないときには、抵当権がついていますから、抵当権の実行となります。
なお、リバースモーゲージの主な弱点を述べておきます。
1 リバースモーゲージの弱点とされるのは、やはり借入の上限があるため、それを超える長生き(79歳を越える)をすることです。
限度額以上には借りられないため、その後の生活費を借りられなくなります。
リバーモーゲージによる他、老後資金として、ゆとりを持った金融資産の準備をする必要があります。
2 担保不動産の価格変動です。上がるのはむしろいいことですが、下がっていくことが問題となります。評価が下がることで、当初想定していたものより低い金額しか借りられなくなることも出てきます。
団塊の世代の方々は、身を粉にして働き、日本の高度成長に寄与されてきた方々です。
老後くらいは、会社のためでも、子供のためでもなく、自分たち夫婦のために、ゆったりとした生活を送りませんか。
なお、一流の銀行(信託銀行含む)、地方自治体をご利用下さい。
条件が甘くても、わけのわからないところから、借りるのは禁物です。
ある程度の老齢で、不測の損をすると、挽回できません。