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遺言・相続問題

遺言書が複数ある場合の注意点

 ある被相続人の遺言書が複数あるとします。
 
 日付の新しいものが優先します。
  一番新しい遺言書が自筆遺言、その前が公正証書遺言としますと、自筆遺言が優先します。
  なお、優先するといっても、例えば、最新の遺言書が、新しく取得した財産のみに触れられている場合、他の遺産は、前の遺言書どおりです。
 
 前の遺言書を撤回すると新しい遺言書に書いてあれば、前の遺言は効力を失います。
 前の遺言の効力について明確にするため、前の遺言書を撤回するという文言が入っている場合も結構あります。
 
 私がみた事例で、遺言書数が多かった事例は、公正証書遺言が3通あったケースです。 
 「第1遺言」「第2遺言」「第3遺言」としておきます。
いずれも公正証書でした。
  「第1遺言」「第2遺言」「第3遺言」、いずれも、長男に圧倒的に有利で、他のきょうだいは、遺留分を害されていました。
  「第3遺言」は、公正証書遺言ですが、遺言能力に疑問があり、医師のカルテから遺言能力なしとして無効判決が最高裁判所で確定しました。
 
 この場合、どうなるでしょうか。
 
 「第3遺言」が無効ということは、最初から「第3遺言」がなかったことになりますね。
  ということは、有効であることに争いのない「第2遺言」が最新の遺言として効力を持つということになります。
  他のきょうだいの代理人(複数)は、錯覚していました。
  「第3遺言」が無効になれば、遺言が何もなかったことになると錯覚しました。
  「第2遺言」に対する遺留分減殺請求をしていませんでした。
  本来、当然、有効であることに争いのない「第2遺言」に対し、遺留分減殺請求をしないまま1年が経過していました。最高裁判所まで争われたのですから、当然ですね。
完全な弁護士のミスでした。
 
 その事件の結末まではみていませんから何ともいえませんが、第2遺言に従って、第2遺言に指定された財産について、遺産分割がされたと思います。
  第2遺言から、第3遺言まで、ずいぶん経過していましたから、その間に取得した財産が結構ありましたから。
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