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遺言・相続問題

金融資産だけなのにもめる遺産相続-特別受益・寄与分

 遺言がない場合、法定相続分で単純に分割できる事案もあります。
 ただ、相続人の1人だけ、生前に多く財産をもらっている人がいるならば、その分取り分を減らさなければ不公平です。
 
 教科書には「被相続人から、婚姻のための資金、高等学校教育の資金、不動産の贈与、現金、預貯金、株等の有価証券、高価な動産の贈与などが特別受益となります」と書いてあります。
 
 もっとも、「婚姻のための資金」が問題になる例は珍しいです。その昔は、跡取りの長男のために家を建てたり、娘に多額の持参金をもたせる例があったのかも知れませんが、正直いって、私は1件も扱ったことはありません。
 
 高等教育の資金は時々あります。
 結構あるのは、私立大学医学部と歯学部です。
 授業料だけで平均すると6年で3000万円かかるそうです。寄付金も千万円単位、留年すれば単純計算で1年500万円、医師国家試験不合格の場合の予備校費も信じられないほど高いです。
 
 改正相続法で、被相続人死亡前10年前の特別受益に限定されるという改正は、遺留分の話です。

 不動産の贈与は多いですね。
 
 被相続人が相続人に対し、不動産や不動産の代金を贈与した場合が典型です。
 被相続人の土地上に相続人が建物を建築する際に借地権を設定した場合、借地権相当額の贈与があったと解されます。 
 借地権を設定せず、建物を建築させ、無償で土地の使用をさせた場合にも、使用借権相当額の贈与があったとされることが多いです。
 
 被相続人所有の建物に無償で住んでいた場合は、ケースバイケースです。逆に、親の面倒をみさせられて、えらい目にあったと考えることもできる場合があります。
 
 現金、預貯金、株等の有価証券については、ほとんどの場合、預貯金は被相続人自身が引下ろして相続人の一人に贈与し、株は被相続人自身が換金して相続人の一人に現金で贈与している場合がほとんどです。相続人は手続きに関与していないのが普通です。
 
 生前贈与がある場合は、エクセルの書式があり、入力すれば計算されます。
 
 概略は、以下のとおりです。
(相続開始時の相続財産価額)+(贈与価額)=みなし相続財産額
(みなし相続財産)×(法定または指定の相続分率)=本来の相続分
(本来の相続分)-(贈与または遺贈価額)=具体的相続分

 これに対し、寄与分でもめる事件は、生前贈与でもめる事案に比べ、あまり事例は多くありません。
 寄与分を認める要件が厳しすぎます。また、認められても金額はわずかです。
  時々、裁判所は、寄与分を認めるつもりはないのかと、あきれることすらありますね。
  労務の提供などは、結局自分も、それで生活していると判断されることがありますし、被相続人の療養看護などは、自分を犠牲にして療養看護して1日8000円程度です。
  あまり具体的な金額が増えるわけでもありません。
  できることなら、親の仕事を手伝ったり、親の看護をしないに越したことはありません。もっとも、そういうわけにもいかないのが現実です。
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