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遺言・相続問題

遺産分割と代償金

 代償分割とは、現物取得した相続人が、他の相続人に対し、自分の本来取得できる法定相続分(例えば、妻子2人の場合、妻は2分の1、子は4分の1)をこえる部分について、他の法定相続人に金銭を支払うことにより取得するという分割方法です。
 
 遺産に金融資産がたっぷりあり、自宅を取得する相続人が他の相続人に支払うべき代償金分の金融資産を相続できるなら、事は簡単です。
 
 通常は、代償金分の金融資産が用意できませんから、自分自身のお金をださなければなりません。
  相続人が、その家族分をあわせて預金通帳にいくら預金があるかが問題となります。
 
 あと、まだ相続人が若く、給与収入がある場合は、住宅ローンを組んで、他の法定相続分に銀行から借りたお金をキャッシュで全額払うというのもありです。
 
 代償金を分割にしてくれといわれ、法定相続人が全員納得すれば分割でもいいのですが、まず、誰かが反対します。住宅ローンが借りられないような年齢や収入で、返済できると考える方が甘いのです。
 
 ちなみに、分割金の約定を守らなかったからといって、他の法定相続人は債務の不履行により分割協議の解除を求めても判例では否定されています。
 
 ですから、代償金は、現金一括払いとされています。
 代償金が払える見込みがなければ、第三者に任意売却して売得金を分割するのが通常です。
  遺産分割調停になれば、他の法定相続人は、代償金が支払えるかどうかの預金残高証明書の提出を求めます。
ローンを組むなら、銀行からの融資内定を示す文書が要求します。
 
 なお、遺産分割の調停が成立せず、遺産分割の審判に移行すれば、裁判所は、代償金が支払えるかどうかの預金残高証明書の提出を求めます。
  誰も提出できないなら、有無を言わせず、競売による分割となります。
  もちろん、夫が死亡し、妻と子が相続する場合には、いずれ妻が先に死ぬということを前提に、本来支払うべき代償金より少額、あるいは、代償金0で妻が取得するという場合が多いでしょう。
  昔はそれで良かったのですが、妻が子より長生きする場合もあります。
  特に、子の年齢が65歳以上という「高齢者」ということも珍しくありません。
  自分が間違いなく生きているうちに、売却して金にしたいという法定相続人がいることもいるでしょう。
 
 調停は、法定相続人全員の合意が必要です。
 法定相続人のうち、誰かが反対すれば、競売になってしまいます。
 
 残酷ですが、現実は、そのようなものです。
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