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身近な法律問題

罰則のない法律

日本には、ある特定の事項を禁止しておきながら、罰則のない規定があります。

 私が司法修習生時代、当時の先輩裁判官から教えられた話では、「売春防止法」が「ザル法」に近いと聞いたことがあります。売春防止法3条に「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」という規定があるのですが、罰則規定はありません。
 処罰されるのは勧誘、周旋、管理などだけです。
 未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法も、飲酒・喫煙した本人には罰則規定がありません。
 処罰されるのは、販売者、親権者(過料のみ)だけです。

 罰則規定という点で近いところといえば「個人情報保護法」があります。
 いろいろ禁止規定はあるのですが、「主務大臣」の「命令違反」「虚偽報告」のみにしか、実質的な罰則規定はありません。
 「主務大臣」から「命令」を受けるまで、何の罰則もないことになります。
 ちなみに、弁護士には「主務大臣」はありませんから(法務大臣は「主務大臣」ではありません)、弁護士は、理論上、違反しても刑罰はありえないことになります。
 もっとも、まともな企業、あるいは、仕業(弁護士・公認会計士・税理士など)は、「個人情報保護法」に違反すると、信用を失墜したうえ、民事訴訟による多額の損害賠償を受けますから、罰則などなくても法律は守ります。

 罰則のない法律は守らなくてもいいのでしょうか。
 貸金業者の貸付利率が29.2%以下なら、出資法により処罰はされません。
 ですから、サラ金業者などは、利息制限法違反であっても、罰則がないことをいいことに、大々的に宣伝し、平気で貸付け、堂々と取立をします。いわゆるグレーゾーン金利です。
 何か「間違って」いるように思います。


 なお、意外かも知れませんが、道路交通法7条には「歩行者の道路を通行する歩行者は、信号機の表示する信号に従わなければならない」と定められていて、同法121条1号により「2万円以下の罰金又は科料」に処せられます。あまり、処罰を受けたという話を聞いたことはありませんが・・
 ちなみに、自転車を運転するとき酒気帯びだったり酒酔いだったりした場合、あるいは、信号無視をすれば、当然処罰の対象となります。

西野法律事務所
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