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身近な法律問題

オーバーローン契約

「オーバーローン契約」という言葉をご存知ですか。
「オーバーローン」といっても、地下の値下がりで、ローン残高よりも物件価格が下回ることを意味するのではありません。

「オーバーローン契約」のはじまり
1 不動産を購入するには、土地・建物代金のほかに、諸経費(印紙税〈売買契約書・金銭消費貸借契約証書〉、登録免許税、司法書士手数料、融資保証料、融資関係手数料、保険料〈火災・家財・地震〉、不動産仲介手数料、土地家屋調査士手数料、不動産取得税、固定資産税清算金、水道〈工事〉負担金)が必要となります。
2 現在は、銀行などに「諸経費ローン」という商品があります。
  「信用」さえあればの話ですが、土地・建物代金とは別に「諸経費」も貸してくれます。
3 「諸経費ローン」がなかった時代、不動産仲介業者が顧客から依頼され、不動産の売買契約書について、本来の契約書と、不動産の金額を上乗せした(嵩上げした)銀行提出用の契約書の2通を作成し、銀行から、本来の不動産の売買価格以上のローンを受け、諸費用を差額から支払うということから「ふかし契約」がはじまったと言われています。
4 「オーバーローン契約」は、法律家からみれば、明らかに「銀行に対する詐欺」です。
 しかし、諸費用捻出のため程度の「ふかし契約」であれば、借主は何としてでも住宅ローンを支払おうとします。
 約定どおり住宅ローンが支払われていれば、問題にされることもありませんでした。
5 もちろん違法であり、まともな不動産業者であれば、最初から「オーバーローン契約」などはしません。

銀行(銀行の保証会社)は「ふかし契約」に気がつかないのでしょうか
1 銀行が、不動産の価格の「嵩上げ」に気がつかないかという点については、基本的に、一戸建てでさえあれば、大きく相場から離れていなければ、気がつきません。
  土地の価格は、路線価などで見当がつかなくもないが、地型や接道面積で大きく異なるし、また、建物の価格は、建物のグレードや仕様などにより大きく異なります。
  銀行は、基本的に、土地については売買契約の金額が正しく、建物の価格は請負契約の金額が正しいと考える。親戚間の取引ではなく、他人同士の取引であれば、「契約額」=「適正価格」となります。
 マンションは、売買相場がはっきりしているので、オーバーローン契約は、なされることが少ないようです。

銀行が、借主の「返済能力」に気がつかないかどうかについて考えてみましょう。
1 顧客が、虚偽内容の確定申告をしたり、虚偽内容の源泉徴収票の取得すれば、銀行は、まず見抜けません。もとより、不動産仲介業者等が「お膳立て」をします。

「オーバーローン契約」の変容
1 はじめのころ、「オーバーローン契約」は、諸費用の不足分の捻出のために利 用されることが多かったことは前記のとおりです。
2 次第に、不動産購入と同時に、債務の一本化をしようとする借主があらわれてきます。
  銀行のカードローンの利息が15%、サラ金の利息は、一昔前まで29.2%程度でした、「オーバーローン契約」により、住宅ローンに含めてしまえば2%ないし3%という金利に一本化されます。

一部業者が、仲介手数料を得るため、住宅を購入する明確な意思もない人に対し「債務一本化」という「えさ」でつるような勧誘を行い、顧客を獲得して仲介手数料を稼ごうとするようになりました。
 ただ、不動産業者は、仲介手数料しか得ることはなく、水増しされた金額は、借主に全額渡るという点では、ある意味「まし」です。

悪徳不動産業者の「オーバーローン契約」があらわれてきます。
1 仲介手数料で満足することがなく「オーバーローン契約」で暴利を得ようとする業者が現れました。
2 手口は「債務が一本化できますよ」「その上お金も手に入りますよ」という「えさ」で顧客をつり、「ふかし契約」で水増しした金額の一部を、不動産業者が取得するというものです。
 通常は「契約手数料」などと称して、法定の仲介利息(物件価格×3%+6万円)に消費税を加えたもの)の上限以上の金額を取得し、あるいは、実施してもいない工事について「追加工事代金」などと称して一部の金員を「かすめとる」という手口です。

 しかし「悪事」がばれることは少ないです。
 買主が、「オーバーローン契約」をしっている=自分も「銀行をだましている」という自覚がありますから、「公」だっていわないからです。

西野法律事務所
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