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身近な法律問題

支部勤務はつらいよ?

 地方裁判所と家庭裁判所には、通常、支部があります。
 大阪ならば、堺支部と岸和田支部です。
あと、私がよく行く支部というと、神戸地方・家庭裁判所の尼崎支部、伊丹支部くらいです。

 一般に、弁護士仲間では「支部の裁判官はあまり記録を読んでいない」「判決も簡略すぎる」などといわれます。

 裁判官時代に、支部勤務の裁判官から「愚痴」をきかされたことはあります。
 今はどうなっているか知りませんし、本当かどうかも知らないのですが、本庁に比べて裁判官数が少なく割り当てられているということでした。例えば、民事事件の場合、本庁が事件数そのままで裁判官数を決めるのに対し、支部の場合は、事件数×0.8の事件数しかないと計算して裁判官数を決めている、つまり裁判官数が本庁に比べて少ないというのです。

 それが本当とすると、支部は冷遇されているということになります。
 本庁の場合は、信用保証協会の貸金請求や公的住宅の賃料不払いによる明渡請求訴訟などが結構な数あり、これらの事件は、欠席判決や、事実関係を認めることがほとんどですから、これらの事件を簡単に処理できるのに対し、支部の事件は、原則争う事件しかないので、本来は、0.8をかけて裁判官数を決めるという計算方式はおかしいような気がします。
 行政事件は本庁しか扱えませんし、和歌山地方裁判所の場合、民事の合議事件は本庁でしか扱わない(田辺支部は刑事の合議のみ)などを考慮しても、少し酷な気がします。

 他に、本庁なら、所長や上席裁判官が、地域の他の公的機関との交流にあたり、一般の裁判官は事件に専念できるのに対し、支部は、地域の他の公的機関との交流に、支部長以下、手分けしてあたらなければならないので、「雑務」が多いそうです。
 「0.8」が本当かどうかはわかりませんが、少なくとも、雑務が多いことは間違いないと思います。

 ということで、支部勤務の裁判官は、本庁勤務の裁判官より、忙しいということになります。 
 悪循環・スパイラル も起こりえます。
 つまり、忙しければ、裁判記録はよく読めませんし、和解がしにくいため判決も多くなり、判決が、多少「雑」になるのも、やむを得ないのかも知れません。

 支部の裁判官に不平を言うだけでははじまりませんから、多少は譲合いをして、和解成立に協力するというのが賢明かもしれません。

 なお「優秀な裁判官は、支部勤務なんかしない」と言い放つ弁護士さんもおられますが、誤解だと思います。遠くの勤務先に家庭の事情で行きづらい裁判官は、遠くの本庁より、近くの支部を選ばれますから。

西野法律事務所
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