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2015年~2017年バックナンバー

一地裁の裁判官

関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)や角和夫副会長(阪急電鉄会長)らは、平成28年3月17日、関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定を批判しました。

 角副会長は、関経連の記者会見で「憤りを超えて怒りを覚えます」と切り出した。「なぜ一地裁の裁判官によって、国のエネルギー政策に支障をきたすことが起こるのか」と述べ、「こういうことができないよう、速やかな法改正をのぞむ」と訴えました。
 再稼働で電気料金が値下げされると、鉄道事業の電気代が年5億円安くなると計算していました。

 森会長も同じ会見で、「値下げができなくなったことが関西経済に与える影響は小さくないと考えており、一日も早く不当な決定を取り消していただかなければならない」と話しました。

 沖原隆宗副会長(三菱東京UFJ銀行特別顧問)も「理解できない」とし、佐藤広士副会長(神戸製鋼所会長)も「(大津地裁のように)裁判がいろんなところで次々に起こり、電気の安定供給に不安が出てくるのではないかと懸念している」と話しました。


 「一地裁の裁判官」という言葉が、よく心情を表しています。小馬鹿にした表現で、大企業トップの言う言葉としては、ふさわしいとは思えません。
 最高裁判所の裁判官がした裁判ならともかく、地位が低い「一地裁の裁判官」がした裁判には納得がいかないと言うことでしょうね。

 また「こういうことができないよう、速やかな法改正をのぞむ」とは、どういうことを意味しているのでしょうか。

 最高裁判所、せめて高等裁判所を、第一審の管轄裁判所にしてほしいということなのでしょうか。
 なお、現行法では、最高裁判所が、第一審の管轄裁判所になるということはありません。
 高等裁判所が、第一審の管轄裁判所になる事件は、選挙無効の裁判(一票の価値の不平等による違憲や違憲状態という裁判は高等裁判所が第一審で判決していますね)などがあります。
 純粋な法律問題の裁判ならともかく、困難な事実認定をともなう事件について、高等裁判所が第一審というのも現実的ではありません。

 仮処分の担当裁判官と異議担当の裁判官が異なるように法律を変えて欲しいということでしょうか。
 和歌山地裁新宮支部(当然1人です)のした仮処分の異議を、別の裁判官に担当させようとすると、和歌山地裁田辺支部(特急で駅から駅で約2時間かかります)の裁判官の裁判官を填補させなければなりません。
 石垣支部の事件を那覇地裁本庁の裁判官に填補させるということもありえます。
 現実的ではないですね。

 まさか、裁判所に判断させないということではないでしょうね。
 憲法76条に「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と定められています。


 最高裁判所の裁判官も、裁判官出身者は、地位が低い「一地裁の裁判官」から出世しているのですが・・

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