本文へ移動

2015年~2017年バックナンバー

ウィーン条約

 平成29年2月13日、北朝鮮の金正男氏が、毒殺されました。
 
 北朝鮮による犯行とみられています。
 
 
 北朝鮮の在マレーシア大使は、「マレーシアの捜査は信用できない」などとマレーシア側を非難する発言を繰り返してきました。
 
 北朝鮮の在マレーシア大使は「姜哲」「康哲」とメディアによって異なっています。
 
 いずれにせよ「カン」なのでしょう。
 
 
 マレーシアは平成29年3月4日、北朝鮮の在マレーシア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、国外追放を通告し、北朝鮮の在マレーシア大使は、マレーシアを出国したそうです。
 
 
 「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」は、国外退去の理由をはっきりとさせ、外交関係のある国どうしの関係を悪くしないために、よく考えられた制度です。

 外交関係に関するウィーン条約(法令番号・昭和39年6月26日条約4号)の9条にさだめられています。
9条
1項 接受国は、いつでも、理由を示さないで、派遣国に対し、使節団の長若しくは使節団の外交職員である者がペルソナ・ノン・グラータであること又は使節団のその他の職員である者が受け入れ難い者であることを通告することができる。その通告を受けた場合には、派遣国は、状況に応じ、その者を召還し、又は使節団におけるその者の任務を終了させなければならない。(以下略)
2項 派遣国が1に規定する者に関するその義務を履行することを拒否した場合又は相当な期間内にこれを履行しなかつた場合には、接受国は、その者を使節団の構成員と認めることを拒否することができる。
 
 
 ということで、期限までに退去しなければ、外交特権がないものとして扱われていたことになります。
 
 
 マレーシアは、すでに大使を召還していますし、北朝鮮国民に認めてきたマレーシアへのビザなし渡航制度の廃止を発表しています。

 あとは、断交にまっしぐらということでしょうか。

 なお、北朝鮮の金正男氏毒殺事件にかかわったとみられる二等書記官については、外交特権がありますから、逮捕などはできません。
 
 また、北朝鮮の金正男氏毒殺事件にかかわったとみられる高麗空港職員には、外交特権はありませんが、大使館内にいる限り、手も足も出ません。
22条
1項 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
29条
外交官の身体は、不可侵とする。外交官は、いかなる方法によつても抑留し又は拘禁することができない。接受国は、相応な敬意をもつて外交官を待遇し、かつ、外交官の身体、自由又は尊厳に対するいかなる侵害をも防止するためすべての適当な措置を執らなければならない。

 なお、話はかわって、ソウルの大使館前、釜山の総領事館前の慰安婦像を、韓国政府が撤去しないのは、ウィーン条約違反です。
22条
2項 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
TOPへ戻る