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2015年~2017年バックナンバー

建物の表示登記と保存登記

 建物の登記には「表示登記」と「保存登記」があります。
 
 「表示登記」は、権利の対象である建物の物理的状況(所在、地番、床面積等)を公示する登記であり、権利に関する登記の前提となる登記です。
 
 当然、建物を発注し所有権者となる人が登記手続きをするのですが、現実には、建築業者と懇意にしている司法書士が手続きをします。
 
 必要な書類は以下のものですから、建築業者から仕事を受けなれている司法書士が手続きをすることになります。
1 委任状(自署)
2 住民票(所有者が会社の場合は、資格証明書また会社謄本)
3 建築確認済証
4 工事完了引渡証明書(建築業者の印鑑証明書・資格証明書付)
5 検査済証(あるいは、工事請負契約書と建築代金領収書)
 
 建物表示登記は、建物が完成してから1か月以内に登記しないと過料10万円があります。
 つまり、建物表示登記は「一応」義務です。
 
 しかし、表示登記をしないままの人もいます。
 
 自分の土地の上に建物を建てたのなら、また、キャッシュで建物建築代金が支払えれば、表示登記をするメリットはあまりありません。
 
 表示登記をしなくても、市区町村は、現地調査により、固定資産税・都市計画税を課税してきます。

「保存登記」は、権利に関する登記です。
 
 保存登記をすることで所有者に対抗要件が備わり、売買や相続といった所有権の移転や抵当権の設定・抹消といった不動産の権利関係に関する登記ができるようになります。
 
 逆に言えば、所有権保存登記をしてなければ、売買や相続、抵当権設定などができません。
 
 所有権保存登記は、名実ともに、所有者の任意に任されています。
 
 建物を新築しようとするのは、自分の土地に建っていた自分の建物を取壊して建物を新築するか、あるいは、更地や古家付土地を購入し、古家付の場合は取壊して建物を新築することが多いと思います。
 
 土地が従前から自分のものであったのなら、キャッシュで建物建築代金が支払えれば、表示登記をするメリットはあまりありません。
 
 保存登記をしなくても、市区町村は、現地調査により、固定資産税・都市計画税を課税してきます。
 
 ただ、キャッシュで、建物を建てられるという人は必ずしも多くありません。
 
 通常は、建物建築のための資金の貯金ができるまで更地にしておくということはなく、住宅ローンを利用します。
 
 土地が先祖代々のもので古い家を取壊すという場合は、新築の土地とともに新築の建物に抵当権を設定します。
 
 土地購入も住宅ローンを利用しているなら、土地に抵当権が既についていますが、新築建物の共同担保を設定します。
 
 建物の表示登記は、建築業者から仕事を受けなれている司法書士が手続きをすることになるのに対し、保存登記は、抵当権設定と、いわばワンセットですから、住宅ローンを提供する銀行が依頼した司法書士が行うのが通常です。
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