2018年バックナンバー
雑記帳
消費税率10%の「再々延期説」先送り
政府は、消費税率10%を上げるということで外堀を埋められつつあります。
確かに、平成24年12月から始まった景気回復局面は戦後歴代2位の長期にわたり、平成30年1月には最長となる見通しです。
求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率が高水準を示すなど雇用情勢も好調に推移しています。
アベノミクスは、現在のところうまくいっています。
ただ、景気の先行きをめぐっては、下振れリスクの高まりから増税の再々延期を予測する経済学者が多いです。
平成26年4月に、安倍内閣のときに、5%から8%に引きあげられました。
ものの見事に、景気が悪化しました。
そのため、予定されていた10%の増税は2回延期されました。
ただ、景気の先行きをめぐっては、下振れリスクの高まりから増税の再々延期を予測する経済学者が多いです。
野村証券が、平成30年8月16日に発表した経済見通しのリポートによると、日本経済はグローバル景気が徐々に減速するのに伴い「外需主導での緩やかな成長鈍化が平成32年度にかけて継続する」と指摘し、人口減による労働需給の逼迫が賃上げを加速させる効果も鈍いとして「実質消費の伸びは基調的に低迷する可能性が高い」とも強調しています。
その上で、日本銀行は大規模金融緩和の修正に入っており、景気後退局面での政策対応は「従来以上に財政に依存することになろう」と分析し、増税の再々延期を予想しています。
平成30年4~6月期国内総生産(GDP)速報値の発表を受けての主要シンクタンク12社の経済見通しを見ても、平成31年度は増税の影響が大きく、実質GDP成長率が0.7~1.0%と伸び悩んでいます。
アルゼンチン、トルコなどの新興国のインフレや財政危機はもちろん、米中の貿易戦争(貿易戦争にとどまらず、冷戦ともいわれています)などもあり、経済が上向く可能性は皆無のようです。中国経済が、落ち込めば、リーマンショック級の不況になるでしょう。
首相周辺は「10%引き上げによる財源を幼児教育無償化などに使うことが決まっており、基本的に再々延期はあり得ない」と建前では言っていますが、「憲法改正の国民投票を成功させるため、自民党内に増税の先送りを後押しに利用すべきだと主張する人はいる」と明しています。
10%引き上げに伴う駆け込み需要・反動減を抑えるための大型景気対策を実施しても世論の不興は避けられません。
2019年の参議院選も、衆議院とのダブル選挙をしない限り、議席を減らし、与党だけでは3分の2を割込むかも知れません。
また、憲法改正の国民投票で過半数の賛成票を集めるためには増税の再々延期が賢明です。
翌年10月、消費税率を上げると、逆に、消費の落込みにより、消費税額が減ってしまうということにもなりかねません。
景気をよくして、法人の税収や個人の給与が増えれば、税収は上がります。
IMF(公的見解ではありません)が指摘するように、日本の借金は、一見多そうに見えますが、日本の資産を含むバランスシートを見れば、先進国中でも、さほど悪いわけではなく、不足は国債でもいいかと思います。
10年債の利率が低いということは、市場関係者は、日本の財政が苦しいとは見ていないに他なりません。
S&Pなどの国債格付け機関はあてにならないということでしょう。
私は、増税の再々延期に賛成です。