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2018年バックナンバー

雑記帳

日中スワップ

 安倍首相は、平成30年10月25日から27日まで訪中を予定しています。

 

 日中両政府は、安倍首相の中国訪問に合わせ、両国企業の決済システム安定のため、円と人民元を融通し合う通貨交換(スワップ)協定を約5年ぶりに再開する方針を固めました。

 

 平成30年10月26日の首脳会談で合意し、日本銀行と中国人民銀行が協定を締結すします。

 

 日中両政府は、平成14年にスワップ協定を締結しましたが、平成24年9月の沖縄県の尖閣諸島の国有化による日中関係の悪化で更新されず、平成25年9月に失効していました。

 

  安倍首相と李克強首相は、平成30年5月の東京での首脳会談の際、協定再開の交渉に入ることで合意し、日中金融当局が融通額の上限などを詰めていました。

 

 失効前の上限は30億ドル規模(今のレートで約3300億円)でしたが、日中間の貿易額や投資の伸びを踏まえ、約10倍に拡大させる方針です。
 3兆円規模となります。

 

 スワップ協定の目的は、金融市場の安定や金融危機対応など、相手国の事情によって異なります。

 

 今回の日中スワップは、日本円と人民元のスワップです。日本や中国が、米ドルを融通するという内容ではありません。

 

 日中スワップについての日本のメリットは、邦銀が発行している人民元建の債務の償還の際に、システムトラブルなどで人民元を調達できない場合に、スワップにより人民元を調達できるようになるほか、現地の日本企業がシステムトラブルなどで人民元の決済ができなくなった場合、中国人民銀行から融通を受けた人民元を邦銀経由で企業に提供するような役割を想定しているといわれています。

 人民元は、簡単にマーケットで調達できるものではありません。

 

 日中関係改善により、日本企業が対中投資を増やすことも見込まれるため、経済界から協定再開を望む意見を取入れたものです。

 

 中国のメリットは、信用補完です。
 現在、アメリカと中国は貿易戦争真っ最中ですし、また、景気の落ち込みも激しく、いつ、通過危機が訪れるかも知れません。

 

 もっとも、3兆円規模では、中国の経済の大きさからして「焼け石に水」程度です。

 

 平成30年10月4日、ペンス副大統領が事実上の対中「宣戦布告」(「中国版ハル・ノート」)とも取れる演説を行ったばかりです。

 

 アメリカが中国にしかける貿易戦争の足を引っ張ることになりますが、3兆円規模なら、ほんのわずかであることもあり、アメリカからの同意は得ていると考えられます。

 

 なお、中国とのスワップと、韓国とのスワップでは意味が違います。

 

 韓国は、アメリカや日本とのスワップ協定を締結したがっていますが、韓国の求めるスワップは、ウォンと米ドルを交換してほしいといいますが、実質的に、米ドルを無利息で貸してほしいとの内容です。

 

 そもそも、日韓スワップは、日本の産業界にとって、百害あって一利なしです。

 

 現在、アメリカが利上げをしています。
 韓国も利上げをしたいのですが、韓国の企業や家計の債務が大きくなりすぎたため、利上げをすると、企業や家計にダメージを与えてしまいます。

 

 ということで、利上げをできないままでいるのですが、その結果、外国人の韓国債券市場「脱出」現象が続いています。韓国債券は、利率がいいという理由で保有されているだけで、アメリカの利率が高くなければ、利率が高く安全なドルへの投資に向かってしまいます。

 

 韓国の関係機関によりますと、外国人が保有する韓国上場債券残額は平成30年10月15日時点で110.8兆ウォン(約11兆円)と、平成30年9月月末(112.6兆ウォン)に比べて1.2兆ウォン(1.1%)減少しています。
 15日間で1兆ウォン以上の外国人資金が債券市場から抜けたということです。

 

 そもそも、韓国ウォンには信用力がありません。

 

 韓国がスワップ協定を結んでいる国とのスワップは、相手国通貨と交換できるだけでドルではありませんし、また、ドルに換金できるスイスフランやオーストラリアドルの額は知れています。

 

 追い打ちをかけて、アメリカと中国の貿易戦争が激化すれば、世界経済全体がおかしくなります。

 

 新興国は、世界経済がおかしくなると、資本逃避(capital flight。資本逃避国内から海外へ資本が一斉に流出すること)が生じます。

 

 もちろん、ドルの外貨準備が潤沢にあればいいのですが、一般に、韓国の外貨準備は金額こそ大きいですが、相当粉飾していると考えられています。

 

 ウォンを売り浴びせられると、米ドルが枯渇してウォンの防衛できなくなり、とんでもないウォン安になります。
 通貨危機ですね。
 平成9年のIMFによる韓国救済の再来です。

 

 日本は、内需が旺盛な国で、韓国との貿易割合が知れていますから、韓国経済が破綻しても影響は大したことはありません。中国とは違います。

 

 日本にとっては、韓国と輸出先が競合している製品が多いですから、韓国経済が破綻すれば、一時的に損害をこうむる企業があったとしても、長い目で見れば、日本にとって有利になります。

 

 また、竹島問題、慰安婦問題の蒸返し、盗取された仏像の不返還、旭日旗問題、徴用工問題など、わざわざ、韓国を助ける理由などありませんし、世論が許さないでしょう。

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