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2018年バックナンバー

雑記帳

ヘッセン州の州議会選挙でCDU大敗

 平成30年10月28日のドイツ・ヘッセン州議会選挙でメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)と、国政での連立与党・社会民主党(SPD)が共に大敗しました。
 
CDU 27.2% (38.3%,-11.1%)
SPD 19.8% (30,7%,-10.9%)
緑の党 19.6% (11.1%,+8.5%)
AfD 13.2% (4.1%,+9.1%)
FDP  7.7% (5.0% + 2.7%)
左派党  6.1%  (5.2%+0.9%)
 
 ヘッセン州については、さほど影響がありのません。
 
 CDUのヘッセン州での得票率は過去50年余りで最低に落ち込んだのですが、従前から、緑の党と連立を組んでいるのですし、FDP(自由民主党)を加えて、CDU主導の州連立政権は、維持されるでしょう。
 
 問題は連邦の方です。
 
 メルケル首相(64)は、平成30年10月29日、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任すると表明しました。
 
 平成30年12月の党大会で党首選への立候補しません。別の党首にかわります。
 
 平成30年10月14日(バイエルン州)と28日(ヘッセン)の2つの州議会選挙で歴史的な大敗を喫し、党人事の刷新が不可欠と判断しました。
 
 首相職は2021年秋の任期まで続ける意向とのことです。
 
 ドイツのCDU/CSUとSPDでは、党首と首相が別になっても、少なくとも法律上、党規約上は問題ありません。
 
 連邦政府が問題ですね。
 
 CDU/CSUとSPDにばかり目がいきますが、深刻なのはSPDです。
 
 SPDは、今年の連邦議会選挙で惨敗しました。
 CDUの巻き添えを食らったのは間違いなく(もちろん、SPD自体の問題もあります)、連立政権は組まず、野党として政権を批判するのが賢明との判断でした。
 
 しかし、CDU/CSUの敗北がひどすぎたため、SPD抜きで連立が組めず、再選挙をさけるため、しぶしぶ連立に加わったという経緯があります。
 
 SPDのナーレス党首は記者団に対し、「連立政権の現状は受け入れ難い」と発言し、政府には短期的な政策指針が必要であり、SPDが引き続連立にとどまるかどうかはその実施次第だと述べました。
 
 普通は、連立解消でしょう。
 このままでは、地方選は全敗、次回の連邦議会選も惨敗の可能性があります。
 
 ただ、連立を解消すれば、解散総選挙で議席をさらに失います。
 
 
 あと、メルケル首相が、次の選挙まで、首相職にとどまるのはどうかという問題があります。
 やはり、このままでは、地方選は全敗、次回の連邦議会選も惨敗の可能性があります。
 
 ただ、連邦首相を、連邦首相の座から引きずり下ろすのは憲法上困難です。
 
 首相が自ら職を辞めるほかは、「建設的不信任案」といって、次期首相候補を決めて、不信任案を提出する必要があります。
 
 現状の議席は、以下のとおりです。
CDU/CSU 246
SPD         153
AfD           94
FDP           80
Linke         69
B90/Gr      67
合計     709
 
 Afdはどこの党とも連立してもらえません。
 
 FDPと緑の党(B90/Gr)は、エネルギー政策など連邦レベルで組めません。
 
 SPDが抜ければ再選挙です。
 CDU新党首が、水面下で、SPDを巻込んで過半数を握れば別ですが、メルケル首相は許さないでしょう。
 
 ただ、責任を取って辞任せず、制度を逆手にとって居座るというのも、日本人として違和感がありますね。
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