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2018年バックナンバー

雑記帳

裁判所で働いている裁判官と一般職員

 裁判所には、裁判官の他、書記官、調査官、事務官などが働いています。
 
 裁判官は、いうまでもないでしょう。
 
 地方裁判所なら、法壇の上に座っている1人(単独)か、3人(合議)の法服を着た人たちです。
 
 ちなみに、簡易裁判所は1人、高等裁判所は3人(極まれに5人)、最高裁判所は最低3人から最高15人です。
 
 合議事件の場合、中央が裁判長、代理人席から、向かって左が右陪席(裁判長から見て右に座っています)、向かって右が左陪席(裁判長から見て左に座っています)
 
 序列は、裁判長、右陪席、左陪席の順になります。
 ただ、表決権は1人1票の多数決、裁判長が原告敗訴と判断しても、右陪席、左陪席が原告勝訴と判断すれば、原告勝訴です。
 
 合議の特性がよく発揮されるのが刑事で、懲役3年、4年、5年と各裁判官が判断すれば、懲役4年になります。真ん中をとる結論ですね。
 
 もっとも、通常の地方裁判所の民事事件の場合、裁判長と右陪席裁判官は裁判長と同じ事件数の単独事件を持ち、また、右陪席は若いことが多くて、自分の単独事件を処理するだけで精一杯、実際は、裁判官になって5年未満で単独で判決のかけない左陪席と、裁判長の合議で決まってしまうことが多いようです。
 
 裁判長と左陪席に意見の対立があれば、真剣に記録を読んでどちらかに決めなければなりません。
 
 地方裁判所で、証人尋問のとき、向かって左に座っている裁判官(右陪席)に、「うんうん」と深くうなずいてもらったからといって、勝つと期待しないほうがいいです。裁判長や、向かって右に座っている裁判官(左陪席)に、「うんうん」と深くうなずいてもらえば、期待ができます。
 
 高等裁判所は、すべて合議事件で、ほぼすべてがベテラン、中堅裁判官です。
 
 右陪席と左陪席が半分ずつ主任(陪席裁判官が3人いる場合は3分の1)となり、裁判長との合議でほとんどの事件の結果が決まります。
 
 裁判長と他の陪席裁判官に意見の対立があれば、真剣に記録を読んでどちらかに決めなければなりません。
 通常、裁判長が、進行などで話しかけているのが主任裁判官です。
 
 
  次に、裁判所書記官がいます。
 
  法服(裁判官の法服は絹製ですが、書記官の法服は綿製です。丈も裁判官の法服が長いのに対し、書記官の法服は短いです)を着て法壇の下に座っています。
 
 裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録、その他の書類の作成及び保管が重要な蜷無で、口頭弁論期日に何が行われたか公証します。
 
 また、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する仕事もあります。
 
 裁判所書記官は、裁判記録の「公証者」という役割と、裁判官の「補助者」という役割を持ち、通常は「裁判官の補助者」という役割が大きいのですが、法廷では、「公証者」としての職務を果たしています。
 
 新米(裁判官任官6年目以降)の単独事件の裁判官が、法廷でミスをして、ベテラン書記官から「やんわりと」「たしなめられている」光景が時々見られます。この場合は、「公証者」ではなく「補助者」でしょうね。
 
 最近は、あまり見なくなりましたが、速記官がいることがあります。
 
 タイプ式速記機を打っている人です。法服は着用していません。
 通常、大抵の弁護士が、民事訴訟で見る尋問調書は、尋問をテープにとり、外注してしまうというやり方です。機密保持という問題はありますが、調書は、ごく一部の秘密性の高い調書を除き、誰でも閲覧できますから、さほど問題はないでしょう。
 一言一句が大きな問題を持つ事件、専門性の高い事件は、速記官が入ることになります。
 
 傍聴席の隣で、事件の受付、事件の読み上げなどをしている職員は、裁判所事務官のうち「廷吏」と呼ばれる人です。
 
  機械的作業だけ担当します。法服は着用していません。
 
 なお、家庭裁判所の調査官(裁判所生え抜きで、大きな役割を果たします)、地方裁判所・高等裁判所の調査官(税務署や特許庁などからの出向)、高等裁判所(同)は、法廷でお目にかかることはありません。
 
 
 家庭裁判所調査官は、調停室などで同席することが多いですが、地方裁判所と高等裁判所の調査官は、一般の人が目にすることはありません。
 
 ちなみに、最高裁判所の調査官は、エリート裁判官です。一般の人が目にすることはありません。
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