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2018年バックナンバー

雑記帳

和製漢語

日中三国市場協力フォーラム 安倍総理スピーチ
 

 日本と中国は、1000年以上の長い間、お互いに影響を与え合ってきました。

 

 5世紀、日本に、初めての文字である漢字がもたらされました。
 6世紀に伝来した仏教は、日本人の考え方に大きな影響を与えています。そして8世紀に遣隋使・遣唐使を通じて、中国の社会制度や、都市のつくり方を学びました。中国は、長きにわたり、日本のお手本でした。

 

 今も、日本の高校生は、日本の国語として、漢文、すなわち中国の古典を勉強しています。御来場の皆様にも、学生時代大変苦しい思いをした方がたくさんおられるのではないかと思います。でも、漢文の奥深さは日本語を豊かにしており、私自身、今でも漢文から学ぶことは多いと感じています。

 

 19世紀になると、日本人が西洋の技術を取り入れ、中国が作った漢字を使って、西洋の思想を翻訳しました。哲学、経済など、その時につくられた新しい単語は、中国に逆輸入され、今でも、中国語として使われています。

 

 1980年代、中国に、いち早く支援を始めたのが日本です。日本の政府と企業が投資を行い、中国の皆さんと共に近代化を進めてきました。現在の発展した中国を見ることができるのは、日本人としての誇りでもあります。

 

 そして今、発展した中国と日本が、ついに、共に世界に貢献する時代がやってきました。
 今日、その歴史の転換点となる現場に、李総理、そして皆様と共に参加できることを、大変うれしく感じています。

 

 (引用終わり)

 

 日本が、中国から文字や仏教を輸入したことで、日本の食生活や文明が発達したことは間違いありません。

 

 漢字は、紀元前から中国から伝わり、西暦57年に後漢の光武帝から「金印」が譲られていますし、百済に住んでいた中国人である王仁博士が、5世紀に「千字文」を伝えたという話は教科書にも出ています。

 

 百済に住んでいた中国人の僧が、日本に中国仏教を伝えました。


 明治維新の際、日本は欧米文化を取入れて、法制度、土木建築、造船、医学などを発達させ、欧米列強に並ぶまでになりました。

 

 西洋の専門用語については、カタカナそのままに利用するのではなく、和製漢語をつくりました。

 

 明治時代の西周(にし・あまね)が、philosophy(英語)・Philosophie(ドイツ語)を、「哲学」と造語しているのが有名ですね。

 

 日本でつくられた和製漢語は、以下のものです。

 

 「文化」「文明」「民族」「思想」「法律」「自由」「民主」「科学」「哲学」「理想」「信用」「人格」「住所」「社会」「労働力」「政党」「政策」「支配」「経済」「固定資産」「人民」「共和」「共産主義」「不動産」「不景気」「材料」「倉庫」「財閥」「財務」「財政」「簿記学」「弁護士」「承認」「抽象」「出版」「出席」「初歩」「処方」「処刑」「病理学」「舶来」「意味」「意志」「改善」「根本的」「宗教」「組合」「保健」「保険」「保障」「保証」「保釈」「背景」「必要」「便所」「表情」「表現」「博士」「経済」「資本」「階級」「警察」「分配」「宗教」「理性」「感性」「意識」「主観」「客観」「科学」「物理」「化学」「分子」「原子」「質量」「固体」「時間」「空間」「理論」「文学」「電話」「美術」「喜劇」「悲劇」「社会主義」「共産主義」

 

 案外、法律用語は少ないです。

 

 理由は、アメリカのウィリアム・マーティン著の「International Law」が、清の学者が翻訳していたからで、以下の漢語は、和製漢語ではありません。

 

「国債」「合邦」「自主」「戦利」「特権」「平時」「盟邦」「越権」「海峡」「管制」「急行」「強制」「共用」「協力」「合法」「公約」「国会」「私権」「実権」「主権」「上告」「商事」「専権」「戦時」「戦前」「船内」「全廃」「属地」「奪回」「直行」「特約」「突然」「物件」「砲弾」「例外」「聯邦」「権利」

 

 日本は、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法などについて、清の学者の翻訳をもちいたのもありましたが、他の和製漢語をつくったのもありました。

 

 「International Law」は、日本の和製漢語は「国際法」、清の学者の翻訳は「万国公法」です。

 

 ちなみに、日本の和製漢語と、中国の漢語が異なるものがあります。

 

 日本や中国では「共和国」(「中華人民共和国」「朝鮮民主義共和国」など)、台湾や韓国では「民国」(「中華民国」「大韓民国」など)、日本では「株式会社」「有限会社」、中国では「有限公司」などがあります。

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