本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

事件記録の閲覧

 民事訴訟法91条には、以下のとおり定められています。

 

「1 何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
  2 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
  3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
  以下略」

 

 これは、憲法82条の規定によります。
「1 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。
 2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。
 但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第3章で保障する国民の権利が問題となつている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。」

 

 戦前の「密室裁判」「暗黒裁判」の過ちを繰返さないように「裁判の公開」を定めたものです。

 

 民事事件や刑事事件の法廷の傍聴は、予約も何も要らず、誰でも傍聴できますから(世間の耳目を集めている裁判などは、抽選になります)、記録を閲覧するのも自由です。誰でも傍聴できるのですから、誰でも閲覧することは自由というのは合理性があります。

 

 ただ、企業秘密にかかわる民事裁判や、強制性交罪などの刑事裁判のうち、被害者の供述など、非公開の裁判の閲覧は当事者や代理人に制限されることがあります。

 

 なお、家事事件(離婚裁判などを除く)や少年事件は、最初から、一般の人は傍聴できませんし、記録の閲覧もできません。当事者や代理人も、閲覧を制限されている記録があります。

 

 最近プライバシーの保護が強く言われてきました。

 

 誰でも傍聴できるから、誰でも閲覧できるということは結構なことです。

 

 逆に、裁判所と事件番号を知っていれば、平日の9時から17時まで裁判所に行って、わずかの収入印紙(200円)を貼れば、誰でも記録の全てを閲覧できるのです。

 

 なお、一般の人は、事件番号を知っていてないと記録がどこにあるかさがすのが大変でしょうが(裁判所訴状受付に一覧表がありますから、それを「しらみつぶし」にさがしていけば、わかります)、弁護士なら、受付の担当者に、閲覧したい理由(関連事件の事件番号や当事者。併合・同一部による同時進行の上申の予定など)と、閲覧したい事件の当事者をいうと、大抵、コンピュータで検索してくれます。

 

 いずれ、紙の一覧表でわかってしまうので、積極的に隠す理由はないこと、弁護士に、紙の一覧表を受付カウンターで「じっくり」立読み(受付カウンター以外への移動は許可されません)されたのでは、弁護士の悪口を含め、内輪の話を聞かれてしまうなど、目障りで仕方がないとの理由もあるでしょう。

TOPへ戻る