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2018年バックナンバー

雑記帳

クランプカレンバウアー女史がCDU党首に当選

 平成30年12月7日、ドイツの与党、キリスト教民主同盟(CDU)は、州議会の連敗を受けて、党首選に出馬をあきらめたメルケル首相に代わり、メルケル首相の腹心といえるアンネグレート・クランプ=カレンバウアー幹事長を新党首に選びました。

 

 決選投票にもつれ込んだ党首選挙では、クランプカレンバウアー氏が517票を獲得し、保守派のメルツ氏の482票を抑えて勝利しました。

 

 クランプ=カレンバウアー女史は、メルケル首相の中道路線を引き継ぐ考えです。

 

 CDUは、メルケルの中道路線を維持し、保守回帰という路線を否定したことになります。

 

 クランプ=カレンバウアー党首は「メルケル首相のカーボンコピー」、「ミニ・メルケル」「メルケル2.0」などと揶揄されています。

 

 クランプ=カレンバウアー党首は、保守派の若手で政府の難民政策を批判したこともあるツィーミヤク連邦議会議員(33)を幹事長に指名して、党内融和ほはかっています。

 

 メルケル首相は、2021年の任期いっぱい、首相をつとめることができる体制はできました。

 

 ただ、メルケル首相が、CDU党首の座をおりたのは、バイエルン州で姉妹党のCSUが敗北し、ヘッセン州でCDUが敗北したからです。
 
 メルケル氏の側近が党首になったということは、CDUの方針は中道路線、保守回帰はなくなったということになります。

 

 CDUは、メルケル首相の下で、難民政策など、徐々に左傾化を進めてきたとされています。

 

 こうしたアプローチが、保守的なキリスト教社会同盟(CSU)の支持層を切崩して、CDUとCSUの仲を険悪にするとともに、「ドイツのための選択肢(AfD)」を筆頭とする右派勢力の増長を許したという批判があります。

 

 メルケル首相、クランプ=カレンバウアー党首の体制を待受けるのは、2019年5月の欧州議会選挙、2019年5月のブレーメン特別市(ベルリン市、ハンブルク市、ブレーメン市は、州と同格)の市議会議員選挙、2019年9月のザクセン州、ブランデンブルク州の各州議会議員選挙、2019年10月チューリンゲン州の州議会議員選挙です。

 

 CDUが、各州議会議員選挙において敗北すれば、メルケル首相、クランプ=カレンバウアー党首は退陣、新しいCDU党首選が実施され、新しいCDU党首が首相になり、次回の連邦議会選挙まで新首相がつとめるということになるでしょう。
 新首相は保守派となります。

 

 なお、ドイツの連邦議会は、解散事由が限られています。

 

 1つは、建設的内閣不信任案といって、連邦議会議員の過半数が支持する次期連邦首相を選んだうえでの不信任案動議が提出されるという場合です。
 現在のメルケル政権ではあり得ません。

 

 もう1つは、内閣信任案の否決です。
 いわば、なれ合い解散ですが(与党は、1部の幹部を除いてわざと欠席します)、この可能性はあるでしょう。

 

 ちなみに、ドイツの連邦議会に議席を持っている政党は、左から右まで、以下の順です。

 

 左翼党(Die Linke)・ドイツ社会民主党(SPD)・同盟90/緑の党 (B90/Grünen)・自由民主党(FDP)・ドイツキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)・ドイツのための選択肢(AfD)

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