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2018年バックナンバー

雑記帳

韓国駆逐艦による海上自衛隊自衛隊哨戒機に対する火器管制レーダー照射

 岩屋毅防衛相は、平成30年12月21日、記者会見し、韓国海軍艦艇が、平成30年12月20日午後、石川県・能登半島沖の日本海で、海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したと明らかにしました。

 

 韓国の当初の弁解は、以下のとおりです。

 

 日本海の海好漁場とされる日本海の大和堆(やまとたい)周辺で「北朝鮮の漁船とみられる船が遭難した」との通報を受け、韓国海軍の駆逐艦の公海上で、北朝鮮の船舶が漂流しているとの情報があり、韓国の海洋警察と共に、海軍駆逐艦も捜索作業に従事していたところ、駆逐艦広開土王が、全てのレーダーを総動員しており、この過程で、射撃統制レーダーについた探索レーダーが、海上自衛隊哨戒機P-1にレーダーを照射してしまった。日本が主張するように「直接、狙った」わけではない。

 

 海上自衛隊の反論は、以下のとおりです。

 

 防衛省が、海上自衛隊哨戒機の乗組員からの聴取、海上自衛隊哨戒機の機材が収集したデータについて慎重かつ詳細な分析を行なったところ、駆逐艦が見えない距離まで遠ざかった後に、哨戒機に向けた照射を機器で感知し、照射が5分くらい続いたため、現場空域を一時離脱した上で、無線で駆逐艦側に意図を問い合わせたが応答はなく、その後、状況を確認するために旋回して戻ったところ、2度目の照射を受けたのことです。

 

 軍艦は基本的に、4つのレーダーを搭載しています。
1 普通の航海用レーダー。
2 敵艦を発見する対水上レーダー
3 敵機を発見する対空レーダー
4 射撃に使う火器管制(Fire Contorl)レーダー

 

 まず、北朝鮮の漁船が空中を飛んでいるならともかく、海上を浮遊しているわけですから、普通の航海用レーダーと、せいぜい敵艦を発見する対水上レーダーを照射すれば十分です。

 

 韓国艦船が、誤って敵機を発見する対空レーダーを照射しても、海上自衛隊哨戒機があわてることはありません。
 射撃に使う火器管制(Fire Contorl)レーダーを使用したから問題なのです。

 

 火器管制レーダーは、攻撃実施前に攻撃目標の精密な方位・距離を測定するために使用するものですから照射の範囲は狭く、5分間照射が続くということは、その時間追跡し続けたということになります。

 

 勘定自衛隊幹部は「レーダー照射は(照準を合わせる)ロックオンと同じ。よほどの緊急事態でなければ、現場だけの判断で照射しない」と指摘し、「艦長や上級司令部の了解を得ていたのか、事実関係の徹底した解明が必要だ」と述べています。

 

 山田宏防衛政務官は、平成30年12月22日、自身のツイッターに「わが国を威嚇し、自衛隊員の生命を危険にさらす行為で許しがたい。味方と思ったら背中から撃つような行為だ」と書込み、韓国側を厳しく批判し、海自用自衛隊幹部も「照射は攻撃を前提にするもので、照射された側は対象から外れるよう急旋回などの退避行動を取る必要がある。非常識で、まったく理解できない」「明確な敵対行動だ。今のままでは友好国として付き合うことはできない」と語っています。

 

 韓国は、従前は「レーダー照射は、駆逐艦は、直接P1を狙ったわけではない」としていましたが、今度は「駆逐艦が、P-1にレーダーを照射したことはない」と主張をかえてきました。

 

 平成25年1月30日、東シナ海において中国人民解放軍海軍の江衛II型フリゲート「連雲港」(522)が、海上自衛隊のむらさめ型護衛艦「ゆうだち」に対して火器管制レーダーを照射したことがありました。

 複数の中国軍幹部は、攻撃用の射撃管制レーダーを艦長の判断で照射したことを認めましたが、中国国防省は否定したままです。

 

 アメリカは、日本側から軍事機密の資料の提供を受けた上、本事案について「このような行動は緊張を高め、事故又は誤算の危険性を増し、更には地域の平和、安定及び経済成長を台無しにしかねない」「我々は同盟国・日本から説明を受け、同事案が実際に発生したと納得するに至った」(平成25年2月11日、国務省定例会見)との見解を表明しています。

 

 韓国は、軍事秘密である資料は出ないとでも思っているのでしょうか。単に場当たり的に対処しているのでしょうか。

 

 世の中は、そんなに甘くないとは思います。P1の探知能力がわかるような資料は公表できませんが、通信記録くらいは公表できるとは思いますが・・・

 

 日本海で活動する海上自衛隊の艦船、航空自衛隊の航空機は、韓国の軍艦や航空機がいたら攻撃される可能性があるという前提で、作戦遂行にあたらなければならないことになります。

 

 ミサイルは、味方を誤射しないよう、敵味方の情報を入力しています。韓国軍は、アメリカ軍並みから、中国、ロシア軍並みに入力されるでしょう。

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