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2018年バックナンバー

雑記帳

弁護士と理数系の知識

 弁護士は、通常大学を卒業していますから、算数はもちろん、数学も相当勉強しています。
 
 特に、国公立大学出身者であれば、数学での点数を稼ぐことなくして合格はできません。
 
 数学が、弁護士の役にたっているのでしょうか。
 
 少なくとも、加減乗除は必要ですよね。
 でも、加減乗除ぐらいなら、小学校の算数と、中学校の数学で十分くらいです。
 
 幾何はどうでしょう。
 前のコラムでも書きましたが、三角形の2辺の和は、他の1辺より長いというのは間違いありません。
 何に利用できるかというと、寄道せずに、まっすぐ帰れば、一番早く着くということです。
 犬でも分かっていることですが・・
 
 住宅紛争などで、筋交いが入っていないと耐震性に問題があるということがあります。
 
 案外、なぜ「筋交いが入っていないと耐震性に問題がある」のかを聞いてみて、すぐに答えの出る弁護士さんは多くありません。
 
 三角形の三辺の長さが同じであれば、三角形は合同ですが、四角形の四辺の長さが同じであっても、四角形が合同とは限りません。力を加えると、菱形や平行四辺形になってしまいます。
 
 ベクトルの理解は、自動車衝突のときなどの場合重要です。
 
 どう衝突すれば、どういう力が働くかで、簡単なものなら、事故態様がわかります。
 
 ただ、裁判官は、専門家の「工学鑑定」などの「権威」がなければ、聞く耳を持たないことがあります。
 
 微分積分の知識は、交通事故の際の加速度の計算の理解に有効です。
 
 ある交通事故の示談交渉事件がありました。
 
 「 信号機のない交差点、広い方が5メートル強、狭い方が4メートル弱です。
 こちらは広い方の道を単車で、相手は狭く、一時停止の標識のある道を軽四輪で走り、出会い頭に衝突し、単車が4、5メートルふきとばされました。」という事案です。
  副検事の作成した加害者の調書には「相手の軽四輪が一時停止をした、そして時速20キロになったところで衝突したとして起訴され、罰金を支払っていました。
 一時停止して、走り出して4メートル程度のところで時速20キロメートルはおかしいですね。
 詳しい弁護士さんに計算してもらい教えてもらったのですが、走り出して4メートル程度のところで時速20キロメートルになるとすれば、F1マシン、運転手はシューマッハークラス、自動車はF1クラスだそうです。
 
 副検事さん(司法修習を経ていない、検察事務官からの特任検察官です)は、こんなことも理解できず、相手方の言うままの調書しか取れなかったようです。
 
  示談交渉は、一時停止ではなく、わずかの減速ということを前提に過失相殺をすることで話がつきました。
 
 あと、集合の概念も重要です。
 
 集合の概念が理解できていないと、論理学の理解は不可能でしょう。
 
 論理学で「ある命題が真であるとすると、対偶は真であるが、逆と裏は必ずしも真ではない」とされています。
 
 これは、さすがに、弁護士であれば通常理解しているのでしょうが、相手方弁護士の準備書面や尋問で、誤った主張が、まま見受けられます。
 
 準備書面は、論理の誤りを指摘する時間は十分あるのですが、尋問でやられると、とっさに判断しなければなりません。
 わざと誤っているのか、単なる「無知」かなどはわかりません。
 
 あと、有効桁数の概念のわかっていない弁護士さんがおられます。

 1つの数字に別の数字をかけるのに、方や有効桁数2桁、次に5桁の数を律儀に5桁で計算する弁護士さんもいます。
 
 他にも、三角関数など、結構数学は無駄になっていません。
 
 ただ、唯一、複素数が、何の意味があったんだろうと、いくら思返してみても、何に役にもたっていません。
 どおりで、数ⅡBから、とっくに除かれ、行列にかわっているはずです。
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