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2019年バックナンバー

雑記帳

アメリカWTOの紛争処理機能を止める・委員たったの1人に

 令和元年12月10日、世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きが、委員の欠員によって機能不全に陥りました。
 
 上級委員会(最高裁判所に相当)の委員2人がこの日に任期切れを迎えたのですが、アメリカが補充に反対していて、新任の委員が選出されなかったからです。
 
 上級委員会の定員は本来7人です。上級委員会は3人以上でないと審議できません。
 
 アメリカが過去約2年にわたり委員の新たな選任を拒否し続けた結果、委員の数は審理に必要な最低人数となる3人にまで減少していました。
 
  令和元年12月11日からは、上級委員会の審議はできません。
 下級審にあたるパネルで結論が出ても、不服のある国が上級委員会に上訴すれば、永遠に結論は出ないことになります。
 
 アメリカは、中国政府による産業補助金や知的財産権の侵害といった問題で、WTOが疑わしきは罰せずという原則に基づき中国に有利な判断を下したことを問題視しています。
 
 今後は、トランプ米大統領が導入した鉄鋼関税に関する米中の紛争など、主要な貿易紛争の審議がストップすることになります。
 
 日本にとっても痛手で、梶山弘志経産相は令和元年12月11日、談話を発表し、上級委員会で審理に必要な定員を下回るという「WTOルールが想定していなかった事態」により「紛争案件が解決されない事態が生じ得る」と懸念を示しました。
 
 その上で「上級委員会の機能の早期回復に向けて、WTO加盟国全体で早急に取り組むことが不可欠。日本はこれまでも提案を出すなど、積極的に議論を行ってきたところであり、引続き貢献していく」と述べました。
 
 ただ、どうにもなりません。
 機構改革が必要ということでしょう。
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