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2019年バックナンバー

雑記帳

佐賀県「新幹線求めていない」新鳥栖―武雄温泉間

 令和元年5月18日、自民党の谷川弥一衆院議員(長崎3区)は、建設中の九州新幹線長崎(西九州)ルートを視察した際のあいさつで、「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」という発言をしました。
 
 報道陣から真意を問われた谷川氏は不適切だったとして「修正したい」と述べています。
 
 佐賀県知事の新幹線への対応が、かたくななために、谷川衆院議員もつい言ってしまったのでしょうね。
 
 谷川衆院議員は、毎日新聞の取材に「知事には韓国と言ったが、北朝鮮とは言っていない。18日のあいさつで北朝鮮と言ったのは言葉が走ってしまった」と述べたほか、共同通信によりますと「韓国のような冷たい仕打ちではなく、人間の情を持って話をしてほしいと言った」と趣旨を説明したそうです。
 
 韓国についてこういう相手である、というような共通認識が政治家間であるのでしょう。
 どういう認識をもっているのかが、よくわかりますね。
 
 ただ、言われた人によっては「韓国や北朝鮮と同列に並べるなど、侮辱も甚だしい」と激怒する人もいるかと思います。人ではなく国家です。念のため。
 
 最大級の侮辱でしょう。
 ただ、マスコミの扱いは、案外小さいですね。
 

 谷川氏は、新鳥栖―武雄温泉間(約50キロ)の整備方式を議論する与党の検討委員会のメンバーです。
 
 検討委員会は、新鳥栖―武雄温泉区間について、「フル規格」か、在来線を活用する「ミニ新幹線」の2案に絞って検討しています。
 
 長崎駅~武雄温泉駅間の66キロについては、フル規格で整備が進められており、令和4年度にはこの区間が開業する予定です。
 
 しかし、佐賀県の山口祥義知事は、多額の財政負担などを理由に両案とも反対しています。
 
 佐賀県の負担は約1200億円、しかし、自治体負担分については地方債を発行でき、地方債の元利償還金については国からの地方交付税が充当できることから、差し引き、佐賀県の実質負担金は660億円程度にもなります。
 
 しかし、長崎新幹線建設計画については、費用対効果という面で佐賀県のメリットは少ないというか、デメリットばかりでメリットはありません。長崎県はメリットたっぷりです。
 
 佐賀県は福岡市に近く、福岡圏といえます。
 現在、博多~佐賀間は特急「かもめ」で37分です。
 新幹線が出来て25分、福岡に行くのに12分短縮されたからと言って何になるということですね。
 
 そもそも長崎新幹線については、長崎県と佐賀県の費用と効果のバランスが悪いです。
 
 博多からの時短効果は長崎県が大きく、しかし新幹線の建設距離は短いですから費用も少なく、逆に、佐賀県は時短効果が小さいにもかかわらず、建設距離は長崎県より長く費用負担も大きいということになります。
 
 それだけではなく、新鳥栖―武雄温泉間に新幹線が開通してしまうと、並行して走るJRの在来線が利用するのに不便となり、下手をすると、第三セクター化して、料金が跳上がるというデメリットもあります。
 
 佐賀県の山口祥義知事は、佐賀県の負担が0円でも、新幹線は要らないとしています。
 
 佐賀県知事の発言は、経済的にみれば、もっともな意見です。
 正しいのは佐賀県です。
 
 自民党の谷川弥一衆院議員(長崎3区)が、「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」のは、侮辱以外の何ものでもありません。
 
 ただ、逆に、佐賀県からしてみれば、長崎県は、自国のことばかり手前勝手に考えて、他国に無礼きわまりない行動をとる、韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ」ということになるでしょう。
 
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