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2019年バックナンバー

雑記帳

動産の強制執行

 テレビドラマなどで、債務の強制執行のため、執行官が来て、「差押えの赤紙」を貼っていくというシーンが放送されます。 
 
 昔は、色は「赤」ではありませんが、執行官が、家電タンスなど動産などに「差押え」という紙を貼っていくということはありました。
 
 現在でも、会社などでは、動産執行がなされます。
 
 判決をとっても払わない債務者の場合は、椅子、机などの動産を強制執行することがあります。
 本来、コンピュータを差押えたいのですが、「秘密保護」の観点から、差押さえてはくれません。
 
 ちなみに、弁護士が、動産執行に立会っていては採算にあいません。懇意にしている「執行屋」さんに頼みます。
 
 不動産の明渡しの強制執行、執行官送達など、何かと便利です。
 
 ところで、一般家庭はどうでしょう。
 
 早い話が無理です。
 
 執行官と執行屋が行くのですが、めぼしいものがなければ、執行不能で帰ってきてしまいます。
 
 「差押禁止動産」というのがあります。民事執行法131条に定められています。
 
「 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
 一  債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
 二  債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
 三  標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
 四  主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
 五  主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
六  技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く)
七  実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
八  仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
九  債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
十  債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一  債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二  発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
十三  債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十四  建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品 」
 
 66万円以下の現金、衣服、寝具、家具、電化製品、台所用具などは差押禁止です。
 
 通常、生活に困窮していて、支払えない人の動産は押さえようがないですね。
 
 ただ、「もう一度やられるのではないか」という恐怖から、これを回避するために、親戚から借りて弁済を行う等の行為にでる人がいます。

 現実には、執行官が、やってくれません。時間をおけばわかりませんが・・・
 
 動産執行をすれば、親戚からお金を借りて弁済するということもあります。
 
 つまり、動産強制執行は、直接的な債権回収手段となることは難しくとも、弁済促進機能ないし間接強制機能を持つものと考えられています。
 
 生活に困窮していて、支払えない人の動産は押さえられませんから、現実に心配する必要はありません。
 
 一番「お金がない」というのが強いのです。
 
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