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2019年バックナンバー

雑記帳

給与振込口座

 破産や個人民事再生申立にあたり、依頼者のうち、転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人に、預金通帳をもってくるように指示すると「山のように」預金通帳を持ってくる人がいます。
 大抵は、使われていない「休眠口座」です。

 

 なぜ、転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人が、預金通帳をたくさん持っているかという理由は、勤務先、派遣先が、給与振込用に、特定の銀行、特定の支店の預金通帳をつくるよう指示するからです。
 もちろん、口座の残高が1000円以下になった口座名と何の意味も無いのですね。

 

 勤務先、派遣先が、特定の銀行を指定する理由の一つとしては「ケイレツ(系列)」があります。

 

 大企業の場合、旧財閥系など特定の銀行と系列があるため、その銀行を指定します。
 特定の銀行員が、特定の銘柄のビールしか飲まないというのは有名な話です。

 

 また、地方公務員の場合、地方公共団体の指定金融機関を給与振込み口座に指定するように勧めることが多いです。

 

 次に、勤務先、派遣先が、さほど大きな企業でない場合は、その企業のメインバンクを指定することが多いのです。

 

 企業としては、借入れの大きい、いわゆるメインバンクのために便宜をはかり、条件のよい融資を受けようとするのです。

 

 なぜ、従業員の預金口座を、メインバンクにつくらせようとするのでしょうか。

 

 まず、銀行としては、給与振込み口座を作ってもらえば、給与振込みだけではなく、定期預金をしてもらえる可能性があり、銀行ローンを利用してもらえる可能性もあります。各種公共料金の引落・クレジットの引落口座に指定してもらえるでしょう。

 

 また、ゆくゆく退職金というまとまった収入が入れば、大口の定期預金をしてくれり、投資信託を購入してくれることになります。
 いわゆる「囲込み」です。

 

 「銀行にそれだけの便宜をはかるから、みかえりに、条件のよい融資をしてくださいね」ということですね。
 誰が損をするわけではありませんし、万事めでたしめでたしというわけです。

 

 といっても、銀行等の経営は、ゼロ金利政策の継続等により苦しくなっています。
 銀行業界の再編は、まだまだ続くでしょう。

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